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底砂の酸処理に関する覚書


淡水アクアリウムに用いる底砂には実に様々な種類がある。

昔からよく用いられてきたものに、海産砂利がある。

有名どころでは大磯砂、ほかにも明石砂利、金華砂利、瀬戸内砂利などがある。
これらは沿岸部に堆積した丸みを帯びた砂利である。
必ずしも浜から採取されるだけではない。かつて海だった場所(たとえば干拓地)の地下から掘り起こして採取しているものもある。

これらの砂利は長年、海の波に揉まれてきたものであり、鉱物としては「枯れて」おり、様々な成分が溶脱することはほとんどない(溶け出しうる成分は当の昔に溶け出ている)とされる。

たしかに鉱物自体からの成分の溶脱は考慮しなくてもいいかもしれない。
が、なにも溶けださないというわけでもない。

砂利業者の処理にもよるが、少々塩分を含んでいる場合がある。水につければ塩抜きはできる。
今まさに海から採ってきたようなものであっても、濯ぎ洗いの後バケツに投入して1日一回の水替え×2週間もやれば実用上の問題は無くなる。

農地の直下から採取したものは、場合によっては肥料漬けになっている可能性もある。
しかしこれも同様、ただ砂利に染みついているだけであるから、上記と同様に水に漬けていれば抜ける。

また、海産貝類の貝殻やサンゴの破片が混じっている。
これが淡水アクアリウムをやる際の厄介者である。
飼育/栽培種によっては弱酸性~中性の水質を維持したい場合が多い。
しかしこのような環境下では、貝殻等からカルシウムが溶脱する。
そのせいで水質はアルカリ性に引っ張られがちとなり、また水の高度が上がる。
これを防ぐために、貝殻等を取り除く必要がある。
金魚やメダカなど弱アルカリ性でも問題ない場合は、そこまで手をかけるかどうか微妙なところでもある。

さて、大きめの貝殻は目視で確認でき、また徒手で取り除くことができる。
しかし、細かな貝殻の破片については難しい。

そこで考案されたのが、いわゆる「酸処理」である。

貝殻の主成分は炭酸カルシウムであるが、これは容易に酸に溶ける。
貝殻を全て溶かし、丹念に水洗いをして酸を抜けば、貝殻は除去できるというわけである。

さて、引っ越し後に新たに水槽を立ち上げるべく、金華砂利、明石砂利、大磯砂をホームセンターで入手した。この酸処理を行い、水槽を立ち上げ、金魚でも飼おうという魂胆である。

手順。

①目視で判別できる貝殻は徒手で可能な限り取り除く。ここを頑張ると、結果として処理が早く、また費用も少なくて済む。

  ②水でよく濯いで、微粉末を洗い流す。濁りが取れるまで頑張る。

③酸に漬ける。

 入手性や安全性、価格面を考えればクエン酸がベター。  室温程度の水でクエン酸の水溶液を作り、砂利がヒタヒタになるように一晩もつけておけば、貝殻の破片は跡形もなく消え去る。①で貝殻等をよく取り除いておくと、個々の時間の短縮につながる。
 水溶液の濃度は貝殻等からの発泡具合やpHを見ながら調整すればよいが、面倒なら濃いめ、乱暴ながら飽和水溶液でもよい。今回は水3Lに対し400gのクエン酸を用いた。目視で把握した貝殻の混入状況からすれば、これで十分のはず…というかかなり無駄遣いした。

 食酢は匂いが強烈なので却下した。
 効率を考えれば塩酸だが、入手性にやや難がある。身分証と印鑑を持参すれば薬局で購入できるのだが、近所のドラッグストアにはストックがなかった。取り寄せてもらうほどの必要性も感じず、大量に在庫があったクエン酸(クエン酸一水和物)にしただけのこと。

④酸の溶液を捨てる。クエン酸であれば下水に直行でも良いのかもしれないが、量によっては浄化槽などに影響が出うると考え、一応、pHを見つつ重曹で中和した。
 そして流水でこれでもかと洗う。溶けた貝殻や浮いた汚れで濁りが出ている。クエン酸処理では、カルシウム分はクエン酸カルシウムとして沈殿する。これを洗い流すのが重要。濯ぎ水が濁らなくなるまでよく洗う。

⑤水に漬ける。砂利に浸みこんだ酸を抜くためである。ここではヒタヒタよりも、たっぷりの水に漬けた方が良い。大きめのバケツに、水10L、砂利3㎏位の割合で漬け込む。
 朝晩水替えをしながら様子を見る。pHをみていると、3日もすれば漬け水はほぼ中性になった。
 井戸水を無尽蔵に使えるのなら、1日か2日か、かけ流しにしておくと手間が無くてよいかもしれない。
 重曹等を投じて中和させるという手もあるが、量を見誤ると今度はアルカリが浸み、本末転倒となると考え、やめた。

⑥念のため、更に水洗いする。これでもかと洗う。
 そしてようやく処理完了とした。

しかし、水道水をまさに湯水のごとく使ってしまった。

最後の濯ぎ洗いを除き、風呂の残り湯や雨水の利用を考えるべきであった。

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